その先

「確か、男の人

私はてっきり、ご主人、あなたのお父様

そう、思ったのですが

お父様は?お聞きになりました?」


私たちの中で、離婚した父親のことは

全く頭になかった

すぐに、澄子ちゃんは母親に

隠していた住所を探し出した

電話番号まではわからず

そのマンションまで行ってみた


チャイムを押してみると

中から年寄りの声がした

澄子ちゃんが名前を名乗ったので


その老人は


「澄子か?」


そう言ってすぐにドアを開けた

澄子ちゃんは泣きそうな顔で


「お父さん、元気そうで…」


すると、父親も


「良かった。元気そうで。

今、お茶を淹れるから

ゆっくりして行きなさい」


そう言って嬉しそうにしていた