誘惑の花
スピカのことを考えて
パパやママが出てくる絵本は片付けようかと思ったが
スピカはパパやママが出てくる絵本を食い入るように見るようになった
あ、パパがいてママがいて幸せな家族がいる
そんな常識は決して良いものではない
子供にはいろんな子がいる
幸せな家族をいいものと考えるのは傲慢だ
でも、スピカの反応は京子の思っているものとは違っていた
「京子さん?」
スピカには自分のことはそう呼ばせた
「ん?なあに?スーちゃん」
京子はスピカが可愛くなるにつれて
スピちゃんとか、ピカピカとかスピッチとか
愛称がたくさんになってしまう
「絵本のパパとママとか兄妹とかみんないるの?
そういうの、かぞくっていうの?」
京子はいよいよ来たか!そう思った