誘惑の花

コーヒーを飲みえると

また同じように手を合わせて

 

「ごちそう様!」

 

そう言ってシンクに持って行った

すると、後ろで

 

「ごちそうさま」

 

小さな可愛い声が聞こえ

皿とスプーンを持ってきた

京子は嬉しくなって

 

「偉いね~、ちゃんと全部食べたし

ごちそう様も言えて!

スピカちゃんは本当に、お利口でいい子だね」

 

そう言うと、スピカは嬉しそうに笑った

その顔は少し美奈子に似てい可愛かった

それから、私は孫出来たような喜びで

スピカと暮らし始めた

2週間ほどたっても、りさ子から連絡はなく

ラインで連絡しても既読にすらならなかった

 

「ママ、どうしたんですかね~」

 

すると、それまであまり話すことがなく

少し知能の遅れがあるのかと思っていたスピカが

 

「ママ、好きな人が出来たからうちとは一緒にいられないって

言ってた、だから、うちはここに来て

ここの子供になるように言われたの

最初はママは嫌い!って思ってたけど

ここは好きだから、それでもいいかな」

 

私は自分のことを『うち』と言うのが嫌なので

 

「『わたし!』そうだったのね」

 

驚きながらも、そう言うことなんじゃないかとは思っていた

でも、俊哉と不倫していた自分を顧みて

まぁ、それも仕方がない

そう思って、一生懸命喋ってくれたスピカに

 

「たくさんちゃんと喋れて、えらいね~

よくわかったよ!」

 

そう褒めると、スピカはにっこりと笑った