ミキの遺産
誘惑の花
スピカの寝顔を見ながら
りさ子にいったい何があったのだろう?
そう思っているとスピカが目を覚ました
スピカは周りを見回して、泣きそうになったが
泣いてはいけないのを思い出すように
ぐっと唇をかんだ
ああ、そう言えば、夫がDVをすると言っていた
可哀そうに、好きに泣くこともできないのだろう
「何か食べる?おしっこでない?」
優しく聞いてみた
すると、りさ子が持ってきたバッグに飛びついた
中にコーラ入っていた
それを開けると、ごくごくと飲みだした
もう、生暖かくなっているコーラ
子供にはどうかと思う
どっちにしろ、少ししか入っていなかったから
足り無さそうにペットボトルを見つめた
ミキの遺産
誘惑の花
心配にはなったが、それ以上どうすることもできずに
ラインの交換をして、別れた
それから3か月
何の音さたもなかったが、あれからうまくやっているのか
私のような田舎が一緒なだけのおばさんに
相談するなんて、思ってもいないのかもしれない
京子はそんなことを考えながら過ごしていた
彼女がどんな運命を送るにしても
自分には関係ないことだと思い始めたころ
「今から、言ってもいい?」
そんなラインが入った
住所を教えると、1時間後にはスピカとやって来た
何日かスピカを見てくれと言う
私はとりあえず、頷いた
すると、りさ子は嬉しそうに
「良かった~助かる」
「ねえ、ご主人とは別れたの?」
すると、困ったような顔をする
俊哉が嘘をつくときと同じ顔
「うん。まあね。何もかもうまくいきそう」
そう言って、ミッキーの大きな顔が書かれている
大きなカバンを置いて、出て行った
スピカはここにきて、すぐに寝たのだが
その顔を見もしないで、嬉しそうに出て行った
ミキの遺産
誘惑の花
その少し、ずるそうに笑う顔
俊哉にそっくりだ
「どうするの?」
「おばさん誰にも言わないでよ!」
そう言って周りを見回す
「うちの東京に出てから、ずっと仲いい友達がいるんだけど
その子の後輩がお金に困っててさ
それで、バイトしてくれるって言うの」
京子は何のことかわからずに
後の話を待つ
「その子が3万でうちの旦那と寝てくれるって言うの
それなら、立派な離婚の理由になるでしょう
それに、暴力だし、娘のことは全く可愛くなさそうだから
サッサと別れられると思うの
うまいこと行けば、慰謝料だってもらえると思うから
いい考えでしょう」
京子は何も言えなかったが
そんな暴力男が、その、話の真相がわかった時が
怖い気はした
でも、りさ子は俊哉のように、楽しげに笑った