逃亡

チェリーがバカなのは母親のせいだと言いたいが

違う!

男と女、友人、誰でも、自分のキャパの範囲内の人間が

集まったり、惹きつけられたりするものだ

いじめられる人間がいつまでも、そこにいるのは

そう言う人間関係の微妙なレベルの問題だ

あの嫁を選んだ息子も同じレベルだ

とりあえず、この娘の悪さをチクったのに

何も言わなかった息子はバカだ

 

「お金なんかないよ!

あってもやんないよ!もう老い先短いから

自分の好きに使うんだよ!」

 

それを聞いてチェリーは

 

「糞ババァ!パパはお金持ってないし~

ママは絶対くれないし」

 

「あっちの、じいちゃん、ばあちゃんは?」

 

「カナダで暮らしてる!

もう、帰って来ないんだって、死ぬまで」

 

「ふ~ん、お金は何のためにいるんだい?」

 

今までバカ丸出しで喋っていたチェリー黙り込んだ

暇な奴ら

イメージ 1

速水はミキと東大教授の父のもと
小さなころから、英才教育を受けて
いや、幼児教育なんかじゃなくて
父が速水の側にいたいがあまり
速水には物心ついたころから、父の優しい声で
たくさんの絵本を読んでもらったり
ミキにはドイツ製の素敵なおもちゃや
和風のかわいい布で作ったおじゃみなんかで
楽しく遊んでもらった

私立の小学校に入ると
そこは付属の中学があるし、速水は小学校の間
塾に通った記憶がない
でも、父やミキが色んなことを教えてくれた
塾に通って競争で勉強するようなストレスを与えたくないという
理由から、のびのびと楽しく過ごしたし
学校の勉強はできない科目はなかった
しかし、付属の中学よりも上の有名私立を狙う子供は多く
クラスの半分は遊ぶ暇もないほど勉強していた

速水は高校に入ったころから
学校の友人とは離れてしまったから
その後は知らないが
彼女のその言葉に、少し調べてみようと思った


逃亡

チェリーは喋ったことは、そのまま垂れ流し

会話にならないような、所がイライラする

 

「なんか食べたい!

そんで、お金もらえないかな~」

 

相手をするのは辞めて

さっさと、おにぎりとみそ汁を出してやる

 

「うわ~小学校以来だ~お味噌汁!おにぎりははコンビニのほうがうまいけどね~」

 

味噌汁が小学校以来、おにぎりはコンビニが基準

まぁ、最近のコンビニのおにぎりが美味しいのは知ってるが

このおにぎりは、田舎から持ってきた、丹念に作ったコメを

有名な窯で焼いた、土鍋で側から離れないで炊いた

極上のご飯!

コメの炊ける音を聞き分けながら出来上がったご飯なのだ

塩も特別なら、のりも有明の極上もの

チェリーに出すのはもったいない代物だ

しかし、チェリーは味よりも

 

「こんな家具揃えられるんなら、

おばあちゃん、お金持ってるんでしょう?」

 

暇な奴ら

イメージ 1

「学校は上に上がれるのは間違いないから
ま、いいかなって」

新開はあまりに呑気で呆れる

「ねえ、新開さんはどんな小学生だったの?」

「え?私?あ~こんな感じかな~
勉強はしなかったから、できなかった
でも、みんな、そんなもんだったわよ
田舎の小学校なんだけど、だいたい小学生が勉強する何て
誰も思っていなかったしね

あ、あれ、不思議
この子はダメダメちゃんだけど
今すごく勉強して、名門の学校に入る子いるじゃない
そこの進学実績とか言うのが国立とか私立の有名なとこ?!
えっと~あのグループのお母さんたちが
受験受験!って騒いでたけど
私の田舎の小学校で、別に塾にも行ってなかったし
ましてや、中学受験なんかしないし
私立の中学なんてなかったしね~
でも、けっこう有名なところ行ってる同級生いるよ
だから、あんなに勉強させることはないんじゃない?」

逃走

しばらくそのアパートで大人しく暮らしていると

突然、チェリーが来た

 

「おばあちゃん、この部屋かわいい~

なんか食べるものある?

お腹すいたんだ~」

 

「何しに来たんだい?

お父さんに怒られた文句でもいいに来たのかい?

お腹すいたって、朝ご飯は食べてないの?

学校は?」

 

その辺りをうろうろしながら、家具を撫でまわし

 

「これ、すごい、かわいい~

うちもこういう家具にしてもらおうっと!

パパには何にも言われていないよ!

パパはいつだって何にも言わないの

学校は行かないよ、つまんないんだもの」

 

「この家具はマホガニーって言ってね、

汚い手で触るんじゃないよ

最近の子はすぐに『かわいい、かわいい』って

ボキャブラリーが少なすぎるね

あんたんちの母親が揃えた安っぽい家具と

一緒にしないでおくれ」

 

暇な奴ら

イメージ 1

みぃは新開にすぐに子供を連れてくるように言った
速水ももちろん同席する

新開は息子を連れてきた
何と言っても社長命令だ

「鋼(はがね)君?」

「ん?」

彼は小学六年生だ
しっかり挨拶をしようとはしないし
新開もそんなことをしろとは教えない

「こんにちは!
ちょっと、ゲーム辞めようか!」

「ダメ!今、いいとこだから
おばさん、僕に何の用事なの?」

新開も悪びれた様子もなく

「この子、これなんですよ~、でも、パパがこれでいいって言うから」

まったく、困った親だ。
みぃも少しお手上げだ、あきれるしかない
すると、速水が

「鋼君は今やってるゲーム、かなりすごいの?」

鋼は答えない

「ああ、ゲームはやってるんだけど、そんなに強くはないみたい
前のグループの難しい所を受験する子にも
よく負けていたからね~」

新開が息子をバカにするように言う
息子はチラッと新開をにらみつける

逃走

もちろん、すぐに息子に

4時間待たされたこと、その理由が彼氏

今も泊まっていたことにしろ!と言ったことも

すべてラインでチクった

孫可愛さに何でも孫の言うことを聞くのがババァじゃない

あんなバカ孫を甘やかすわけにはいかない

今頃は言わないかもしれないが

うちの田舎では『おばあちゃん子は三文安い』

なんて言われている

最近の犯罪を起こすバカ者どもは

だいたい、婆さんのとこにいたってやつが多い

しっかりしろ!日本中の婆さん!と言いたい!