誘惑の花

最初にここに来た時には

スピカはむくんだように小太りの子供だった

京子がいつも手作りで

野菜たっぷりの煮物、ほし大根と竹輪の煮物

ひじきと人参の煮付け、焼き魚

京子は子供がいるにもかかわらず

容赦なく自分の好きなものを食卓に並べた

ご飯も白米ではなく、十八穀米やもち麦だし

おやつも、一緒に作るプリンやクッキー

チョコレートムース

スピカはみるみる痩せてすっきりしてきた

スピカのいい所、食べ物の好き嫌いはしない所だ

大人の和食だって喜んで食べる

特に魚は生まれて初めて食べると大喜びだった

痩せてくると、そこには俊哉の面影が出てきた

ちょっと、照れたように笑う所

そっくりすぎて、京子は嬉しくなる

その京子のスピカの笑顔を愛していることは

スピカにもしっかり伝わり、嬉しそうに笑う