発達障害の母

「母は亡くなりました」

 

僕はこれだけは知らせないと

そう思っていたことを口にした

もしかしたら、母を恨んでいるかもしれない

いや、全く忘れていて興味もないかもしれない

不安だらけだったけれど

修二さんは黙って頷いた

そして、人は瞳だけでこんなに悲しみを表現できるのだ

そう、深く心に刺さるまなざしで僕を見つめた

言葉で表現する人ではないのが良く分かった

なんだかそこから通じてくる気持ちは

僕が常識で考えていたものとは

まったく違うほど澄んだものだった