発達障害の母

それがいつの間にか、そんな老人に手をかける人たちの側になって

ニュースを見るようになった

その一つ一つを見て、

どうせ、この年寄りがろくでもない人間だったのだろう

母の友人が老人ホームにはいっていて

文句ばっかり言っているのをたくさん見た

お金払ってるんだからって目線で

ヘルパーさんの苦労なんか当たり前だと思っている

そう言う人たちのわがままに対して

嫌な気持ちになるのはどんな人間だってあることだろう

歳をとったらとったぶん、人の心くらいは

理解してほしい

そんな人間関係を構築できない人間は弱い分

暴力を受けても仕方がないんではないか

私の心はこんな風に変わって来た

 

不思議なことを数えれば

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それはミキが考えてもいなかったことだった
その時は反論もせずに
心にモヤモヤを抱えたまま帰って来た
子育てはできるだけ手伝うが、その方針には
口を出さないほうがいいだろうとは思っていたのだが
ここまでだと、これでいいのかと思ってしまう

家に帰ると、口数の少ない妻に沢田が心配して

「どうしたの?
速水の体調が悪いの?」

「ううん。体調は万全よ」

「でも、何か気になることがあるんだろう?」

沢田はいつだってミキを見ていてくれる
速水が出て行ってからは、速水のことは興味深く見守っているのだが
いつだって、一番に考えてくれているのはミキのことだ
ああ、そう言えば、速水があの世界に
みぃの世話で入ることになったときも
父親とは思えない冷静さだった
沢田はいつだって答えを持っている

「実は、速水が子供を学校にはやらないっていうの
もちろん、幼稚園もそうなんだけど」

すると、沢田は嬉しそうに声を上げた

「そうか!良かった!そうしてほしいとは思っていたんだよ」

発達障害の母

私は最初、母に対してよりも

老人が家庭内で子供に殺されたり

老人ホームでの老人に対するヘルパーさんの暴力

そんな物にものすごく賛同するようになった

ほんの数年前は、そんな気持ちが自分の心にわいてくることなど

全く考えられないことで

老人相手にそんな気持ちになる人間なんて最低だと思っていた

両親に対してだって、どんな仕打ちを受けたとしても

やはり、この世に産んでくれた人間なんだから

感謝の気持ちは持てなくても

殺したり暴力をふるったりするのは、絶対的に

する側が間違っている、そう信じていた

不思議なことを数えれば

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ミキの人生は普通の常識的な人になることだった
そして、そのことが最近バカげたことだったと
教えてくれたのは速水の人生なのに
それでも、まだ、自分の常識的な人間
標準的な日本人になりたいという思いを否定できないでいる

もちろん、仕事に貴賤はないはずだ
でも、やはりなんとなく釈然としない
夫ならば、その、究極の二人の愛を
面白がり、文学としてしまうのだろうが
ミキには無理だ

だいたい、もうすぐ子供が生まれると言うのに
果たして本当にそんな父親でいいのだろうか

ちょっと、勇気を出して聞いてみる

「ねぇ、タケオさん、仕事、ちゃんとしなくても
子供にとっていいのかしら?」

速水は少し考えて

「私ね子供を集団で育てるのはやめようと思ってるの」

「え?それって、幼稚園や学校にやらないってこと?」

発達障害の母

私自身も世の中で言われているように

性的なトラウマに悩まされることもなく

ごく普通の性生活で生きてきた気がする

だから、母に対するたくさんの恨みつらみの中で

そのことを思ったのは父の入院の時だった

死が近い父の入院は好きな買い物が好きにできる

一番楽しい時間なのだ

自分の村での立場を上げるために

幼い娘を差しだすなんて、普通のことだったのかもしれない

そう考えると、おぞましいだけだ

 

人間が生きていくまっとうなマニュアルを語るのが得意で

いかにも、そんな風に生きているかのように

自分の子供にも他の人にも話すのだが

また、それが腹が立つ

不思議なことを数えれば

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タケオがこの世界に帰って来て
待っていた女は多かった
少年でなくなったタケオは
ものすごい人気になっていた
タケオの容姿、これまでの人生、そしてそのテクニック
木佐が今は事務所を仕切っていて
笑いが止まらない
タケオの一晩の値段はうなぎのぼりだ
もちろん、木佐がタケオをもう一度やらないかと誘ったわけではない
タケオの意思だ

そのことを速水は聞いてはいなかったが
そのことに気が付いても嫉妬の感情は全く沸いては来ない

それは、やはり、おかしいことなのだろうか

ミキは幸せそうにそんなことを受け入れている娘を
奇異な思いで見ていた

発達障害の母

世の中にたくさんの幼児虐待がある

しかし、私の子供のころは

親のすることだ、しつけのために手を挙げることもあるだろう

そんなことは普通のことだった

小学校の友人は体操服を着替えるときに

背中に赤い叩かれた跡があり

 

「昨日、お父ちゃんが酒飲んでベルト持って暴れた~!」

 

それで、皆フ~ンと納得したものだ

家に帰って親に

「あそこの家お父ちゃんが暴れて

背中をベルトで叩くんだって~」

 

そんな話をしても

 

「ああ、あそこのお父ちゃんは酒癖が悪いからね~」

 

で終わりの話だった

だから、私も母のことはそのくらいの軽い気持ちで

処理すればいいのだろう