魔女

「やめたときに捕まえた男があれからすぐに

雑誌に載っていたから、よく覚えてるよ

みんなでくうちゃんって子はやり手の男を

かぎ分ける能力があるんじゃないかってね」

 

「雑誌に載ったんですか?」

 

「ほら、IT企業ってやつ!

今はどうしてるかわかんないけどね~

あたしゃ、あの手の男が苦手でね

こう見えたって、M大学の理工学部を出てるんだよ

最初に男を覚えたのが、あの手の男でさ

散々ひどい目にあってるからね

えっと、会社の名前は確か『YCD』とかだったよ」

 

ほんとかしらと思いながらもお礼を言って

外に出た

本当に空気が気持ちいい

あんな店の洞窟のようなところで

立派な大学の立派な学部を出ているのに

一生、あんな仕事をしてるなんて、気持ち悪い

でも、瑞樹ちゃんは感心している

 

「すごいですよね

私はあの手の仕事、全くダメで三日で追い出されて

本当に困った記憶がありますよ

お金を稼ぐには女はあれが一番なのにね~」