小百合の幸せ
小百合の幸せ
誘惑の花
それに、お互いの体に飽きたのかもしれない
田舎では全く違うエリア、全く違う階層
京子の友人たちが人間とは思っていないほど
毛嫌いしている俊哉なのに
こんなに離れがたいのはセックスの相性がいいからかもしれない
京子の夫は誠実で優しいおことで、
俊哉のセックスとは比べ物にならないほど
行儀のいいものだった
長い付き合いの中でも俊哉は、悪であった頃の片りんも
京子には見せなかったが
多分セックスのやり方はその世界のものかもしれない
そして、お互い、もう、会うのは辞めようと決めた時から
どちらも全く連絡しあうこともなく
すんなりと会わなくなった
小百合の幸せ
誘惑の花
それから、二人の関係は京子の子供が生まれるまで
続くことになる
俊哉は三人の子どもができ
家庭内は幸せに満ちていた
美奈子は俊哉が田舎では破格なほど
稼いでくれることに満足して
ある程度遊ぶのは仕方がないと思っていた
子供の世話で手いっぱいって言うのもあるし
俊哉が結婚してから思いのほか、誠実で
家族を大事にしてくれるから
東京に仕事に行った時に、少し遊ぶくらいは
と思い始めていたのだ
その相手が風俗とかではなく
昔あの喫茶店にいた京子という女だとは
思ってもいなかった
京子は東京のサラリーマンと幸せな結婚をして
それから二年後に子供が出来たので
さすがに、子供ができると不倫なんかしている
親にはなりたくないと考えたのだ
小百合の幸せ
誘惑の花
俊哉は困った顔をした
「だって、奥さんいるでしょう」
美奈子のことはよく知っていたが
全く知らない顔をした
子供もいるのだ、ここに泊まっていいわけがない
俊哉はすっと、京子に近寄ると
うつむいていた京子の顔を覗き込むようにしたかと思うと
軽いキスをした
そして、驚いている京子をすっと抱き上げると
そのままベッドに押し倒し
「会いたかった」
そう言って抱きしめてきた
京子は何も言えないまま、されるがままになり
そして、思い切り抱き返した
そう、ただ、会いたかった
もし、俊哉が美奈子にあきて
ただの浮気に来たのだとしても
それでいいと思った