その先

「僕はね、今、人生をやり直したい!

そんな風に悩んでいたんだ

実はこの店は女房の実家で

さっきの女将が女房なんだ」


ああ、それで、直ぐに予約が取れたのか


「今まで上ばかり見つめて

こんなことで自分のやりたいことは

できたつもりだったけれど

随分、本当の道からは

離れてしまった気がしていたんだ

でも、あなたが現れて

風香とのことを思い出し

いや、思い出したというよりも

奥深くに眠らせていたことを

取り出したというべきか」