その先

「結婚して、欲しいものをすべて手に入れたときに、出会ったのが風香だったんだ

それは若気の至りだとか

単なる不倫だとか

そんなものじゃなかった

本気で彼女にのめり込み

僕は彼女の部屋に入り浸りだった

妻とは分かれてもいいと思っていた

でも、風香は黙って死んでしまい

妻は全てを知らぬふりして

帰ってこいと言った

言い訳に聞こえるかもしれないが」


私は首をふった

私は風香をよく知っていた

風香はそんなときに彼を自分の物にして

喜ぶ女じゃなかった

あの頃のこの人は本当に美しかった

奥さんの気持ちもわかる