刷り込み

貞丸はそう言いながら

キナの好物を渡してくれる

オレンジジュースに唐揚げ棒


「本当、いい加減、消えてくれないかしらね

私が病んでいるんだろうけれど」


貞丸は優しくキナの頭を撫でながら


「母さんの記憶は

俺の中では全くないから

羨ましいよ」


キナはオレンジジュースを飲みながら


「あたしこそこんな記憶がない

あんたの方が羨ましいよ」


「どうする?ここ動かなくて大丈夫?」


「今回は全て表参道近辺

私はホテル住まいって設定だから

今頃、ホテル行って

そんな女、泊まったこともないって

言われて、警察に駆け込んでるよ」