誘惑の花

どうしようかと迷いながら

お風呂に入り、髪を洗い、梳かして

ドライヤーで乾かしながら

そう言えば、あの父親の髪の毛はくせ毛だった

この真っすぐの髪の毛はりさ子のもので

そう言えば、俊哉も真っすぐな髪だった

 

「あのね、スピカちゃんのお父さんに会いに行ったの」

 

その言葉にくるっと振り向いたが

何を言われたか、わからないように

 

「え?お父さん?だれの?」

 

ドライヤーを止めて京子はもう一ど

 

「スピちゃん、頭がいいでしょう?

それは、もしかしたらお父さんの血じゃないかっ思ったの

ほら、人間でも動物でも、虫でもみんな親に似ているでしょう?」

 

スピカは頷きながら、自分の父親を頭の中で探してみた