逃亡

そんなことを考えながら血だまりを見た

これは拓の言うことが本当ならば

拓が殺したわけではなさそうだ

刃物で殺された跡だ

 

「ちょっと、おばあちゃん!

ここはいっちゃだめだよ~」

 

いきなり、どっかに行っていたお巡りさんだ

 

「ここは私の家ですよ!

お爺さん、早くここにきて!

一緒にご飯にしましょう」

 

すぐにぼけたふりをした

 

「おばあちゃん、どこの人?

ちょっと、一人で帰れる?」

 

「帰れるよ!その角を曲がったとこに息子がいるよ

この黒い染みは血かい?

お爺さん、人殺しでもしたのかい?」

 

地味にぼけてるふりをしながら

聞いてみる

 

「ここはね、ナイフで刺された死体があったとこだよ

もう、帰りな!

それに、僕はお爺さんじゃないよ」

 

「え?そうかい?ほんとだ、お爺さんとは似ても似つかない

イケメンだね~」

 

そんなことを言いながら、そこを離れた