発達障害の母

それでも、母の話はいつもその頃の自慢で始まる

私は洋裁も好きだし、上手だったのよ

一年間、私は母のすべてを受け入れて、全部を飲み込んでしまおう

そう、決心してこの家に数十年ぶりに帰って来て

そこに向けて努力してきたのだが

発達障害独特の執拗なまでの物事に固執するさまや

興味のないことにはどんなに大事なことも

口で返事をするだけで、すぐに忘れてしまう事

歩きすぎて膝に水が溜まって痛い思いをしたのに

どうしても歩かずにはいられないこと

毎日、スーパーのチラシを見て安ければいらないものも

たくさん買ってくること

など困ることはすべて呑み込めたし

家のお金が百万単位で無くなっていることを

すべて私のせいのように弟に話していることも

まぁ、もう、今はどうでもいいと思っているのに

たった一つのことが許せなくて東京に逃げ帰って来た