タケオと言う男

速水は素直に父に相談したのだ
この間大学の門のところにいた男の子が
実はもう一度自分の居場所に戻りたいって思っていること
もちろん、自分が彼を好きだとは言っていないが・・・

すると、父親は事細かに速水がさっき提案したことを教えてくれた
そして、速水がそのお金を全部出すことを
面白がって、ミキに

「速水はきみに似ているのかもね
君が弟君を何とかしなきゃって頑張ったことに
どこか似ていないかい?」

「そうね、でも、なんだかかわいそうな気もするけど
速水、初めての恋じゃないのかしら」

二人はそんな風に温かい目で速水を想い
一番適切なやり方を指示してくれる

タケオはしっかり勉強できるように、予備校はもちろん
わかりやすい家庭教師も紹介してもらい
なおかつ、生活費も速水が出して
とにかく勉強さえすればうまくいくようにセットした

それでも、速水も親たちも本人がやる気になって
ちゃんとやらなくとも、それはそれで仕方のないことだと考えていた