発達障害の母
「そういうことだったのね
私、あの頃、ケロの家の母親が後妻だって知らなかった
そうだよね、抜群の運動神経だったのに
どうして、代表にならないのかも不思議だったわ」
「ハハハ、あ~ちゃんは俺のことなんか完全無視で
勉強してるか本読んでるかだっただろう」
「うん。そうだね。
継母のほうがいいんじゃないかな
今は母のことは納得してるし、そういうこともあるって思えるけど
あの頃は本の中に逃げ込むこともできなかった
継母ならばシンデレラになったって思ったり
白雪姫みたいだと想像でなんとか乗り越えられただろうけど
私が知っている限りの小説、ドラマ、どれにも
母親が少し知能障害だなんて話はなかったし
親は尊敬して敬うものだと教えられていた身としては
自分の置き場所がわかんなかったのよ
反抗したって反抗の意味すら汲んでもらえないんだもの
勉強してなんとか母から遠のくことしか考えていなかったわ」
三人が黙ってしまった
「ああ、ごめん。もう、なんてことないことだから
気にしないで
ケロのとこ息子さんがすごいんだって?」