そして恋人へ

「じゃぁ、もう、籍は入れたの?」

「ううん。パパは入れないって!」

「優未ちゃんのため?」

「違うの、癪だけど!
今の彼女が夢から覚めた時に戸籍が汚れてないほうが
いいだろうって!
所詮、恋ってやつは覚めるものなんだから
その時に綺麗なままの戸籍で
パパと付き合ったことなんか知らぬ存ぜぬで
新しい人との愛をはぐくむことができるように!だって
だって、彼女、まだ、二十代だし
パパとは30近く違うんだもの
気障だけど、パパ、かっこいいでしょう?」

「そうか!僕にはわからないけど」

すると、優未は不思議そうに

「先生、あ、違う、戸田さんは恋とかしたことがないの?
あ、結婚してるんだっけ?」