恋をしたとき

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康太に後で聞いたところによると
雅紀はあまり複雑な犯罪は理解できない
幼稚園レベルの信号が赤では渡ってはいけない
喧嘩はしてはいけない
嘘をついてはいけない

恋愛に関しては、まだ、あまりよくわかっていないのに
この顔だ、回りの女の子が
中学のころから放っておかない
そこを岡本に利用されたのだと言う

章子はとにかく嬉しくて仕方ないようで
雅紀が・・・少し足りない感じであることも
そこが好きでたまらないらしい

章子が雅紀を送っていくと帰ったそのすぐ後に
小百合が困った顔でやって来た

「速水さん、どうだした?
どう思います?
夫は放っておけって言うんですけど
本当にこれでいいのかしら?」

私は二人が作りすぎたたこ焼きの種を
もう一度焼きながら

「小百合さんもたこ焼き食べる?」

そう聞くと、小百合はどうでもいいように
頷くのだが
これはすごいことだ

逃亡

「私、会社で調査室にいたことあるんで

ちょっと、心当たりある人に調べてもらいます」

 

美佐子さんはそうあっという間に決断すると

息子の弁当と拓の朝食を用意した

拓は帰ってくると嬉しそうに、それを見つけて

 

「お義母さん、ありがとうございます!いただきます!」

 

「お義母さん!!!!

ちょっと、拓!甘えすぎだし

あんたは美佐子さんって呼びな!

まだ、籍が入っただけなんだから」

 

すると、拓は嬉しそうに

 

「美佐子さんって呼んでもいいっすか?

俺もそうしたほうが自然だと思うんすけど

美佐子さんがそう呼べって」

 

そう言いながら完璧な和食の朝ご飯をかっこんでいる

美佐子さんは笑いながら

 

「いいんですよ

私もそう呼ばれると息子さんと本当に結婚したんだな~って

嬉しいし、チェリーちゃんもママって呼んでくれるんですよ」

 

まあ、なんといい人だろう

すると、息子が起きてきた

息子は朝は薄いトーストにマーマレードを付け

ブラックコーヒーだそうで

さっと、熱々のトーストを差し出す

 

「あ、おはよう!ありがとう!」

 

私は遠慮なく

 

「美佐子さん、こんな息子のどこがいいのかね~」

 

「あ、陽介さんはセクシーなんで」

 

拓が思わず朝ご飯を吹いた!

私は大笑いしてしまう

確かに、夫もそうだった

息子は笑いもせずに会社に行く準備をして弁当を持って

出て行った

恋をしたとき

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少しバツが悪そうに彼は入って来て
章子は本当にうれしそうに、そして自慢げに

「彼が雅紀君
ね、イケメンでしょう?」

「ホントね!
ママは大丈夫なの?」

すると、雅紀のほうが

「あ、それはダメ!全くダメなんだよね!
でもうちの親は章子ちゃんの関係の人に会うのならば
全然、OKしてくれるから
それで、ここに来たんだよ
すごいな~まっしろな大きなピアノ!」

星人のために買ったグランドピアノを珍しそうに
撫でながら、感心している

「これはグランドピアノって言うのよ
ここにもえっと、16の男の子がいるの
今はニューオーリンズに行ってるけどね」

「パチンコ屋さん?」

アメリカ!」

「ん~外国だっけ?」

もう、速水は大笑いしてしまう
章子も楽しそうに

「ね~雅紀君、すごいでしょう?
パパもおば様みたいに大喜びして
面白がるのに、ママはわかってくれないの」

それはそうだろう
雅紀が彼だと思うと母親としては笑ってはいられない

「変な人たちとさえ付き合わなければ
彼は大丈夫なんだって
だから、雅紀君のパパやママ、家族みんな
私に側にいてほしいって!」

なるほど

逃亡

「こっちのほうこそ、こんな風に転がり込んで

悪かったね~実はね・・・」

 

彼女にはすべてを話しておいたほうがいい

そう感じて今までの経緯を話す

何と言っても私は年寄りで、

いつ、コロッと逝ってもおかしくない

そうなると、チェリーの力になれるのは

この、義母しかいない

息子はそう、あてになるもんじゃないし

拓がしっかり独立してチェリーやシェリーを

養えるようになるには、まだまだ、随分かかりそうだ

 

「お母様のアパートをぐちゃぐちゃにしたのが

拓さんが関係している組織の人間なのか

もしくは全く関係のないただの泥棒なのか

そこをしっかり把握しないと安心はできませんね」

 

しっかり的確な返事が返ってくる

息子は夫と同じように顔で女を選ぶタイプだが

美佐子さんは頭もよくてしっかり者で美人だ

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その二週間後
章子からラインがあり
彼を連れて行くから、たこ焼きいつもより多めで!
その、彼とは?
あれから、まだ、そんなに過ぎていないのだから
雅紀君だろうか?
それなら、康太は大丈夫だろうが
小百合は?
そんな心配をしながらも
中学、高校でバカバカしいことに夢中になることは悪いことではない

私が章子くらいの頃はみぃさんのところで働いていたが
その前の中学時代
依存症だったとはいえ、男の子を捕まえては
セックスしていたのだ

今思えば、そんなこと少しも大したことではない
その頃の母はショックだったのだろうが
文学よりも文学らしい生き方をする父は
それも、素敵なことだと受け入れてくれた

待っていると、あのスマホの写真で見た
背が高くて端正な顔立ちの雅紀と
章子がやって来た

逃亡

「はい、私もそのほうがチェリーさんのためだと思いますが

まだ、子育てにもなれない様子

夜中の授乳も大変そうですから

しばらくはシェリーちゃんのために頑張ってもらって

少し落ち着いたら、食事の準備や掃除は

手伝ってもらおうと思っています」

 

完璧な答えだ

あまり深い話は聞きたくはなかったが

つい

 

「美佐子さん、もう籍は入っているのかい?

あまり無理しないでいいんだよ

だいたい、あの息子がどこでこんなできた女の人を

見つけてきたのかね~」

 

すると、美しい卵焼きを焼きながら

 

「私、彼の部下だったんです

籍は・・・お母様にご挨拶もしないで

入れてもらっています」

 

「ああ、別に私に報告なんかすることはないよ

お互いがそれで幸せなのが一番だからね」

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「確かに、悪い良いの前に
かなり知識が足りないと言うか
女の子をひっかけては岡本に流して
その後、女の子がどうなるかってこと
全く想像できなかったらしい
岡本も雅紀には詳しいことは行ってなかったらしいし
その最中にスマホで動画を盗れって言われていたらしいのだが
彼はそれを覚えておく能力はなくて
その動画はなかったらしい
岡本はそのことを隠して、女の子に
動画もあるからと脅して風俗に売っていたらしいんだ

まぁ、章子の前の女の子たちは
遅かれ早かれ、そう言う風になるような女たちだったらしいから
売られたからと言って、ある程度の小遣いが入ってくれば
訴えるなんて気は、さらさらなかったらしいんだけどね」

速水は康太もだけど、小百合の気持ちを想えば
そんな男の子に惚れた章子を止めたいとは思う
しかし

「でも好きになるって、ほら、同じところがあるからじゃない
遠くで見て憧れているだけではなくて
実際に一緒に過ごしてみて
やはり好きだって章子ちゃんが思うんだったら
章子ちゃんの中にあるものが、雅紀君にもあるってことじゃない」