速水の悩み
発達障害の母
そこからは二人が決めることだ
田舎に住んでいた昔の私は無知で子供だったから
何も見えなかった
あの頃の私ならば、今度のことなんか何も見えなかった
母もそうだ、
母は直感で妊娠しているのではないか
そう考えたし、昔、近所で会った兄妹相関のことは思いついても
そこは知らんふりをするのだ
それが現実であったとしても
どうにもならないことだ
私も道徳家でもなければ、おっせかいなおばちゃんになるのも嫌だ
そして、いいことをしたと思っても
実際遠い将来、それがもっと、ひどいことになるのか
そこから奇跡のように素晴らしい人間が現れるかもしれないのだ
そんなことを東京の友人に話したら
たぶん、それはロクなことにならないってほうが
正しいと思うよ!なんて言われたが
まともな、いや、世の中の良識的な
家庭に育った彼女にはわからなかっただろう
理不尽な生まれの人間にも世の中を登っていける
チャンスがあると言いたいし
そう言う理不尽な生まれのほうが危ない道への誘いも多いが
もしかしたら、それを反対のエネルギーとして
登っていく者もいると思いたい私は良識も何もあったものじゃない母から生まれたから
t
速水の悩み
発達障害の母
中高生の恋は都会も田舎もない
あまりに稚拙で人生を棒に振ることもある
亜美ちゃんは家庭の中で、相手は弟だ
とりあえず、今回は手を出したが
これからは二人の問題だ
「帰ったら、哲也君とちゃんと話して
亜美ちゃん自身が今どうしたいかを大事にするんだよ
早くあの家を出て
それでも二人でいたいのならば、それから考えればいいよ」
その言葉を最後に私は亜美ちゃんに二度と連絡を取ることもなかったし
亜美ちゃんからも連絡はなかった
数か月後、母から
「あそこのおばあちゃんが自慢しに来たんだよ
孫が東京の大学に合格したんだって
入学金から、アパートの家賃まで出してやるって
大喜びしてたよ!
そう言えば弟は中卒で就職するらしいよ
お姉ちゃんは賢いのにね~」
速水の悩み
発達障害の母
「そう、でも、どこの家庭もそんなものよ
親は親で悩みも多いし
そんなに子供のことに構っちゃいられないのが
普通の家庭よ
亜美ちゃんは優等生だから余計
心配しなくてもいいって思ってるんじゃない?
弟君のほうが心配かけそうだけどね」
すると、亜美ちゃんは怒ったように
「あ、違うんです
哲也は誤解されやすいけれど
本当は優しくて、人の痛みがわかる子なんです
勉強はしないけど
やったらできるんです」
そう言う目を見ると、妊娠には困ったが
実際は弟の哲也君を恋愛対象としているのかもしれない
それは、私には止める権利はない
ただ、多くの高校生と同じように
今、子供を作ってっていうのはだめだろう!