速水の悩み

ホテルに入るといつも通りにタケオが待っている
みぃが与えてくれている一番最近の男
一晩の額はそれなりだから
顔もスタイルも間違いない
俳優志望らしいから全く素を見せることなく
速水の相手をする
今まで、ハーミーとわかるとやたら興奮したり
お金を吹っかけてきたり
口止め料を請求してきたり
とうっとおしい反応が結構あったが
一晩か二晩で飽きてしまっていたので
記憶にとどまることもなかった
それは、高校生の頃、クラスの男子誰でも良かったのと一緒で
結局、速水にとって男ならだれでも良かったのだ

ところがタケオに対してはどうも今までの自分とは違っている
みぃはすぐにそれに気が付いて
もう、やめてもいいと言ったのかもしれない
みぃは正二を想っていたころの自分を思い出したのだ
正二が姉であるミキに惚れていることの辛さとか
確実に誰と寝ようと性の関係と愛していることは
全く別だと理解していたのだが
それはそれでつらかった

速水には愛する相手ができた時に
今の仕事をさせる残酷さはわかっていたから
タケオだけのものになればいいと
みぃは思っていたのだ
年齢が行ったとしても、速水さえこの仕事をやりたいのならば
別にみぃは何も言わないと決めていたのだ