街の灯り
発達障害の母
ネコはさすがに村長だ
雅ちゃんが一人になってからも
ちゃんと食べていけるように
仕事を考えてあげている
「いや、ありゃ、仕事なんてできる
状態じゃないぞ
子供もできなかったし
旦那にベタ惚れだったから
立ち直れないんじゃないか」
そんな話をして帰る
雅ちゃんの幸せなんか私には関係ないけれど
やはり、同い年だから
彼女のこれからを思うと心配になる
母は私が帰ると最近、私の機嫌をとる
母の知的障害はわかっているのに
どうしても何かと厳しく言ってしまう
私が悪いのだ
それでも、普通に食器の始末や
洗濯、掃除がまともにできないところを
目の当たりにすると
この80年近くどうして成長することなく
生きていることができるのかと
イライラしてくるのだ
街の灯り
発達障害の母
ネコは笑いながら
「俺だって、あんな爺ちゃんや父ちゃん
恥ずかしいだけだったよ
子供のころは村の誰彼に爺ちゃんが余計なことを言ってるのを
見るたびに、穴があったら入りたかったよ
あ~ちゃんだけじゃないさ」
「ま、いいじゃん
二人とも死んじまったんだからさ
あ~ちゃんは苦労しに帰ってきたようなものだけど
もう、みんなわかってるし
あ~ちゃんも東京で立派にやってるって
感心してるからさ」
友くんもずいぶん優しい
「そういえば、雅ちゃん、いよいよ
追い出されるらしいよ
雅ちゃん、妹から慰謝料を絶対もらえって言われてるけど
そんなの絶対出すいえじゃないからなぁ
雅ちゃん、実家かえるしかないよな
もう、この年じゃ仕事もないし」
と、友くん
「あそこの旦那、うまいことみっちゃんの後家さん
捕まえたからな~
まぁ、あの家の爺さんのこと考えたら雅ちゃんも
いい嫁ではなかったしなぁ
あ、そういえば道の駅でレジの仕事でもやってもらえると
いいんだけれど」