街の灯り

何事もまじめになることがなく
世の中をクラゲのように生きていて
莫大なお金を動かしているみぃが
珍しくまじめにミキを見つめる

「正二はお姉ちゃんのことが
本気で好きだったんだよ
だから、私のことは本当の妹のように
大事にしてくれたんだけど」

それは、ミキもよくわかっている
ミキだって正二の気持ちはわかっていたが
風俗なんかが世の中にあることすら
呪っていたミキと
風俗の世界の申し子のような正二
どんな素人の女の子もやり手の風俗嬢に仕上げることができ
お客の喜ぶ企画を考えるのは天才的で
彼に任せておけば、この仕事で莫大に設けることができる
ネットの中のその手のサイトだって
彼が始めたものが数限りなくあるのだ

その彼がみぃに子供を産ませたとなると
そこにはやむにやまれない事情はあったのだろう

「みぃが正二のこと好きになっちゃったのね」

「そう、後にも先にも男を本気で愛したのは
彼だけ、なのに彼は私を抱いてくれたその時ですら
お姉ちゃんのことを想ってたんだよ」

生々しい話だが今は、もう、遠い昔のことだ