理想の父

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学歴のないトラック運転手一筋の父
最後は事故で死んで、保険金を残してくれた
自分の家族のことはコンプレックスでしかなかった
しかし、あの家に住むお金
食べ物、そして日本一難しい私立の中学の学費
それまでの塾のお金

ちょうど母がいなかったから、それは若い男や
自分の美貌に使われることはなかった
姉が自分のために使ってくれた
父は自分が稼いだお金の使い道なんか
全く知らなかっただろう

「あ、そう言えば、じいちゃんが仲良かった
おっちゃんの息子が、今もあの実家の近くに
住んでるはずだよ
その人も一緒の会社でトラックの運転手してたから
父ちゃんのこと、色々知ってるんじゃないかな
私にとっては喋らない、たまに帰ってくる
じいちゃんに褒められてる人ってイメージしかないから
私はお姉ちゃんやお兄ちゃんみたいに
あの家に生まれたこと嫌だとは思ってないの
むしろ幸せだったと思ってる」

「幸せだった?」

「うん。じいちゃんとの毎日は
大人が考えたらエロくって、かけ事の毎日だったけど
私はすっごく楽しかった
母ちゃんは美人で派手で、面白くって
他の家のお母さんみたいに口うるさくなかったし
厳しいしつけとか、全くなかったでしょう」