恋をしたとき

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小百合は速水の言葉を待っていたかのように

「そう、そう思ってくれるでしょう?
私と主人が精魂込めて子育てしたのに
いったい、どうして、あんな恋をしてしまうのかしら
生まれた時にはすぐに私がお世話になった先生に連絡して
すぐに1歳半から通えるように幼児教室の予約をして
その紹介料は父に払ってもらい
幼稚園に入るときにも、母の友人が理事をしてることもあって
母に動いてもらって、それなりのお金を用意してもらったのよ」

速水はここで小百合の本性を見た気もした
小百合はいつだって母親と同じブランドの服に
身を包み、母にもらったと言うエルメスを持ち
誰が見たって贅沢している奥様と見えるのだが
本当はお金に対して、ちょっと、煩いのかもしれない

お金持ちの家が実際はケチなのはよく聞く
康太ではその種類のお金の用意は
いくらお金があっても出さないだろうし
実家に出させたことに、少し悔しい想いが入っているような
そんな気がしたのだ

「小学校だって、大学まで上がれるのはわかっていても
進学塾にまで入れて、ピアノを習わせて
何が行けなかったのかしら?」

速水は笑い出した
今、章子が雅紀に恋をしていることと
章子を育てるのにいくらかかったと言うことは
いったい関係があるのだろうか?