恋をしたとき

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小百合は、こういうものは
お祭りの時ですら食べないのだ
そして、はっきりと嫌そうな顔をするのだ

でも、今は心ここにあらず
食べ物のことなどどうでもいいと言う感じだ

「さっきまで章子ちゃんたちが来てたのよ」

「ええ、知ってます
だから来たの!
章子は雅紀君を彼の家まで送って行ってから
帰るって言ってるから」

「なんだか、反対ね!
それもいいと思うけど
確かに雅紀君、ちっちゃい子供みたいだものね」

「それなのよ~どうしたらいいと思う?」

「放っておくしかないんじゃない?
章子ちゃんは今は雅紀君に夢中だけど
そのうち醒めるんじゃない
醒めた時に雅紀君は普通の恋人のように
なにかと悶着の種になるようなタイプじゃないと思うけれど」

私は彼が別れ話に逆上して暴力をふるったり
ストーカーになったりするタイプではないと思うし
だいたい、今の状態も
章子のことは親が喜ぶ、極上の友人ができた
そんなことじゃないかと思う

そんな話をつらつらしてみると
小百合さんは下を向いて

「こんなことのために一生懸命育てたわけじゃないのに」

そう言って泣き始めた