姉のこと

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心で思うことを
相手を想うことなく、
平気で口に出す
家族だから、親族だから
まるで本音で言い合うことが、家族の印でもあるかのように

康太が知っている家庭はそんな家だった
父は無口で何も言わない人だったが
母は自分が一番賢く、正しくもないくせに
いつも好きなことを口にした
そして、なおかつ、その言葉の一つ一つは
本当に汚い言葉の数々だった

いつも母親が感情に任せて、言いたいことを言う
爺さんもそうだった
父は言わなきゃいけないことすら言わなかった

康太の中で、家庭というものは所詮そんなものだ
そういうくだらないものだと長い間思っていたのだ

でも、小百合との毎日はそんな言葉は一つも出てこなかった