姉のこと

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江戸時代から医者の家
小百合の兄が家を継ぐ予定だそうだ
今はまだ、父が元気で病院長をやっている
母親の家もまさに間違いのない立派なものだ

康太は彼女のプロフィールを見たときに
こんなに立派ならば、お見合いなんて降るほど来るだろうに
と感心したものだった

「お父様が康太さんの家も代々医者の家だと言っていましたわ
康太さんはどうして、弁護士になられたんですか?」

「あ、僕の家っていうか
祖父がその家の出なんですけど
祖父が医者になる道を選ばなかったんです
僕の小さなころ、祖父は医者になれということは
まったく言いませんでしたから
僕はそういう、プレッシャーはないまま育ったんです」

康太はそんな話をしながら
爺さんはただただ、女好きのやさぐれでしかなかった
医者になれ何て言うはずもなかった
彼女の想像の中に、康太が育った家のことなど
まったく無であろうから
うまいことを言えば
彼女の中で美しく立派な家として成り立っている