秋風
大木は困ってしまった
大木が大手の企業から転職してここに来た
本当の理由
それは、弟のことがあったからだ
「いいのよ、ここで働いて、ゆくゆくは
父親を助けて、実家を継ぐのもいいし
この会社があってないって思うのならば
遠慮なく言ってくれれば、私たちは
あなたをここに拘束するなんて思ってもいないからね
確かに、ここは終身雇用制か!っていうほど
誰もが出て行かないのだけれど
みんな訳ありだから、ここにいたほうが居心地がいいのよ」
みぃの言葉に首を振った
「僕には帰る場所がないんです」
まったく不思議なことを言う
「まぁ、帰る場所がないのは、
だいたいここの幹部のほとんどだけど
どういう意味?」
大木は心を決して話始めた
「僕の本当の父は、母に殺されたんです」
「え?」
何かの比喩にしては大げさな言い方だ