康太の深淵
優未は不思議そうに康太に聞く
こういう話は母親は絶対しないし
学校の先生も当たり前のことしか言わない
父親は自分が楽しければ何でもいいから
優未に何か偉そうに話すこともない
「誰かの都合のため?」
「うん。まぁ、君のお母さんがどうかはわからないけど
自分が恥をかくのが嫌なために勉強をさせるとか
将来、自分の家の家業を継いでほしいがために
子供の道を親が勝手に決めるとか
何かと親の都合がいいことのほうが多い気がするよ」
「でも、ママがいつも言ってるんだけど
『ママはおじいちゃんのおかげで、こんなに幸せな毎日が
遅れるんだから親には感謝しなきゃねぇ』
親は生んでくれたんだから、感謝するのは当たり前でしょう
だから、そのお返しに言うことを聞くとか
しなきゃいけないんだって言うわ」
「親に感謝か~
僕は全くその必要なんかないと思うけどね
子供をちゃんと育てるのは親の義務だよ」
「え?じゃぁ、私はパパやママに感謝しなくてもいいの?」