康太の深淵

「まぁ、人間に生まれて
誰もが本当の愛を知っているってわけじゃないからね
でも、君の父親も君が好きなのは確かだけど
これから先、君のために生きてはくれないと思うよ」

康太は人間が人間を生み出し
そして、子育てや親孝行に何か意味付けするのは
間違いのような気がした
もちろん、子供が生きていけない環境に置くのは
動物の親としてどうかと思うが
そこに愛や家族としての心を重ねるのが
美しいというのは間違っている気がした
家族の形は変わってきているというよりも
家族には何の意味もないと言いたかった

「法律では決められないよ
君はきみの好きにすればいいよ
お母さんからお金をもらって
お父さんと住みたければ住んで
自立できるまでは親を利用していけばいいさ
こうせねばって世の中で言われていることなんか
誰かの都合のためのものだからね」