康太の深淵

みぃと速水
康太はこの二人のこともミツホに話したことがなかった
まぁ、この二人のことがわかっていれば
あの母親は結婚させなかっただろう
最初から全部話せばよかった

しかし、こうして姉が喜んでくれるのならば
まぁ、よかったことにしておこう

そう思って家に帰ってみると
ミツホの父親が来ていた
ああ、そういえば、ここのカギは渡しておいたのだった

「ごめん、勝手に上がり込んで
でも、うちの妻が余計なことをして
僕は前々からミツホには手あげられたって仕方のないところが
あるって思ってたよ
全く普通じゃないからね」

「いえ、手をあげた僕が悪かったんです」

「ミツホが物心つき始めたころから
ちょっと、普通ではないなって思っていたんだ
でも、妻はあの調子で教えれば
やめろって言われてもやめないの
あなた、すごいわよ、この子、天才かも

まぁ、妻もエキセントリックな性格で
自分が思いこんだことがすべての人間だからね」