.....の無い

康太はこれだと思って
慌てて

「すみません、つい、話が耳に入って来たものですから、もしかしたら、その女の人が
僕の探している人かもしれないので
その人はどんな感じだったんですか?」

その話をしていた男二人は
最初面食らったようだが

「ああ、いや、うちの会社をいよいよ閉めることになってね、まぁ、なんとかどこにも迷惑をかけないような最後にできたんだ
それで、ちょっと、昔話をしていたんだけどね
その女の子がいたときに会社の業績も飛躍的に伸びてね、親父が死んでからは退職金も手にしないまま消えてしまったんだ
当時は俺らも若かったから、まぁ、その~
その子に嫉妬しちゃってさ、すごいなんてことは口に出さなかったんだけど
今、振り返ったら彼女があのままいてくれたらもっと違った最後になっていたんじゃ無いかと話していたんだ
あんたの探している女の人だといいけど」

「その、お父様の愛人....すみません
一番、気になるものですから
そういう関係は全くなかった......」

「ああ、そうだよ
とにかく、まだ、二十歳前くらいで
可愛い子だったけど、しっかりしてたし
なんだか貧乏な出で、高校に行けなかったようだけど、親父の話は熱心に聞いて
自分で会計処理なんかも勉強してたし
親父としては不憫に思ってお茶汲み程度と考えていたのかもしれないけれど
どうして、どうして、営業させても
企画に関してもすごい子だったよ」