.....の無い

「ま、しかし、あの後
ミキちゃんの母親も捨てられたって
話だったからな
どっかの社長さんが身請けしたって話
身請けって言っても、妾にしたとかそんな
話じゃ無いって聞いたけど
蒲田あたりでチラッと見たやつがいて
事務の職員のような格好していたって
話だったかな?
そいつも、見間違いかもとは言ってたけど」

それから、しばらく休みの日に
康太は蒲田通いをしたのだが
なかなか、その後のことは分からなかった

そんなある日
蒲田の古い喫茶店でコーヒーを飲んでいると
後ろの席から

「昔、親父がまだ未成年の女の子を
事務所に連れてきて
この子に仕事を覚えてもらう!
そう言ったときは自分の女を会社で使うのか
お袋のことを考えろよ
それも、娘みたいな子だし
確かに、まだ、高校に行っていても
おかしく無い年だったよ
それがみるみるうちに、
うちの仕事に慣れちゃって
数年後には親父の立派な片腕だったよ
もちろん、そこに変な関係もなかったしな
死んだ親父は人を見る目があったな~」