....の無い

そのマスターは康太が聞くまでもなく

「それでさ、ミキちゃん、消えちゃったんだよ
でも、この辺り一帯の人間は
ミキちゃんをかわいそうだと思ってたから
あの男も母親もいいきみだと思ったけどね
ミキちゃんってあの店で仕事してても
質素な誠実そうな子でね
それに、俺は行ったことはないんだけど
頭の回転の早い子だって話だったよ
あんな仕事させてちゃもったいないってね
何と言ってもまだ、15、6だったからね」

「そのあとはどこに行ったかは
わからないんですか?」

「あんた、もう何年も経ってるけど
あの、あこぎな母親と男の
手先じゃないだろうね」

康太は母親を思い出した
確かに世の中的にはあこぎな母親だろうけれど
あの、母親にしてみれば
風俗もスーパーの店員も全く一緒の
認識しか持っていなかった