しかし、どう考えても姉と教授との接点は考えられない
戸惑っている康太をみて沢村はすぐに引いた
「ああ、ごめんごめん、僕の悪い癖だな
どうも思い込みが強すぎて」
康太はほっとした
そして、姉に対する嫌悪感のようなものが
教授に話すことによって気にならなくなっているのに驚いた
沢村はその変化を読み取った
「君は法律が専攻だったからなぁ
文学にはそんな力があると僕は信じているんだ
ただただ、妄想を書いているんだが
人の心に触れるような、そして
気持ちが変わっていくような
もちろん、悪いほうに代わることもあるけれどね」
そう言って立ち上がり去っていった