......の無い

康太は驚いて沢村を見る
康太はあまりに底辺の環境に生まれたために
この大学に来るような生徒は理想の家庭で育っている
そう、感じていたが
沢村のような環境は案外多い
大企業の幹部クラスの男を父に持ってはいるが
それを大ぴらには言えない立場
しかし、金銭的なうるおいと上等な頭は持っているので
この大学にはたまにいないでもない

沢村は康太の姉に心をはせながら

「そのお姉さんって君が何歳の時に帰ってきたの?」

そして、康太のその答えは
翔子が自分の前から消えたころだと思う

「えっと~お姉さんの名前ってなんだっけ?」

「ミキです」

それは翔子の源氏名ではないか・・・・

「会ってみたいな」

「え?!」

「君のねえさんに」