.......の無い

康太の顔を見ると
ここからは、話すのはつらいって顔をしている
沢村にはこの、康太の苦悩の理由がすぐに分かった

「その敬愛していたお姉さんもお母さんと同じような
仕事をしていたんだね」

康太は沢村から言われて、ほっとしたように

「そうなんです
それも、小さいころ母親が連れて行った妹の消息を
探すときに、あまりにスムーズすぎて
その業界に詳しいことに僕は嫌悪感を抱いたんですけど
妹も・・・・・もちろん、そんな世界に入っていたし・・・・」

「そんなお姉さんが許せない?」

「はい。
姉は母と違ってそのあたりにいる男を手あたり次第って
いうような女ではありません
知性も教養も中学しか出ていないのにちゃんと備えています
でも、結局はそこかぁ・・・・・みたいな

でも、姉は好きだし恩も感じています
あの時、姉が家に帰ってきて
僕らの面倒を見る必然は何もなかった
姉ならば、あの頃の若さならば
もう一度実家とは関係ないところで普通の家の人間に
変わることはできたはずなのに」