.....の無い

「沢村教授って独身で変わり者なんだ
すごく、おしゃれでね
いつだって英国紳士みたいな格好しているよ
女子学生には人気なんだけど
ひたすら文学一筋って感じで
いつだってその中で生活してるって有名なんだ
でも、この本を読むと
この本が教授のことだとすると
素敵な女の人に振られたみたいで
そこから立ち直っていないっていうか
その思い出だけで生きている
そんな人なんだ」

康太は無邪気に沢村の話をした
小説の題名が『翔子』だった
ミキは震える手でその本を手に取った
沢村健太郎・・・・・思い出すたびに心の奥深くに
沈めてきた名前だ