......の無い

「この間、司法試験に合格したよ
今まで、ほんとうにありがとう」

ミキはその言葉で、爺さんから、いや、自分たちは知らないが
その前の代の隠避な先祖の血を少しでも
浄化できた気がした
こうなると、じぶんはもっと、康太からは離れようと
決心した

「よかった、おめでとう」

「それで、沢村教授にも報告に言ったんだ
そしたら、この本を見せてくれて
『前から思っていたんだが、君には姉さんとかいないかい?』
って話し始めて、実は僕が入学した時から
すごく気になっていたって言うんだ
どうも、自分が昔、知り合った女性に似すぎている
ちょっと、首をかしげるしぐさや少しうつむ気加減に笑うところ
ものすごく似ていて、驚いたよって」

ミキは聞いていてドキドキしてきた
確かにミキと康太は美人の母親に似たみぃとは違い
父親に似ていた
しかし、お互いが似ているとは思ったこともなかった

「姉さんに僕が似ているっていうのは
よくわからないけれど
姉はいますって言うと
『もしかして姉さんの名前は翔子さんじゃない?』
そう、聞かれて違いますと答えると
がっかりしたように僕にこの本をくれて
その話は終わったんだ」