......の無い

ミキは昔の店に久しぶりに行ってみた
もう、あの風俗店は無くなって新しい店になっていたが
相変わらず、毒々しい悪趣味な店構えだ

働いている人間は似たようなものだった
女の子はほとんど若くなっていたが
あいかわらず、ここで女の子相手に働いている
しょぼい男たち
ほとんど前と変わっていない

ミキが店に入っていくと
若い男の子が出てきた

「おばさんじゃ無理だなぁ
美人なのは認めるけど
あ、熟女専門もこの系列の店でやってるから
そっちに行く?」

ミキを募集の紙に釣られてここで働きたい
女の子だろうと思ったのだろう
すると、その後ろから

「こらこら、なんて失礼なことを
ミキちゃんじゃないかぁ!」

ああ、まだ、いた
あの頃からお人好しで優しいだけが取り柄のゲンちゃん

「ゲンちゃん、まだ、いたんだ?」

「ははは、俺に他の仕事なんかできないしなぁ
オーナーは三回変わったけど
実際に仕事を回すのは俺だからな」

「ゲンちゃん、この仕事あってるよ
あの頃、女の子の間では一番人気だったんだよ
優しいって!
地方から出てきた子はゲンちゃんに惚れたりしてたよね」

「よく覚えてんなぁ~
ここにくる子は男なら何でもいいって感じで惚れるからなぁ
若い黒服はすぐに手を出すけど
俺は絶対商品には手を出さないから
オーナーに信頼されちゃって、この仕事
やめらんないんだよ」