.....の無い

康太はミキが帰ってくるまで
いったい何をしているのかも知らなかった
姉がいることは知っていたが
この家の女だ、どうせ母親のような生き方をしているに決まっている
そう、考えていたから
ミキが帰ってきたときに驚いたし
自分と同じ気持ちの姉が急に現れたことに
救われた気がしたし、実際、自分が考えた通りに
なんでもバックアップしてくれた

今の康太の姉に対するイメージは
質素で男なんかに全く興味がない頭のいい優しい最高の姉
そう心から信じていた

そのことはミキにもよくわかっていたし
余計なことを話して康太を失望させるのも本意ではなかった
もちろん、彼が自分の思い通りの人生のレールに乗って
ここから出ていくときにはすべてを話してもいいとは思っていたが
今、余計なことを二人の間で抱えて
彼の司法試験合格の夢をつぶす必要はないと思っていた

「みぃをどこで見たかだけ教えて
ここに連れて帰ることが彼女の幸せならば
そうするし、そうじゃなければ・・・・」

母のことをよくわかっている康太にはその意味は分かった
自分たちには最低のくそ女で、世間的にも馬鹿な女ではあるけれど
本人はいろんな男とかかわりを持っている自分の人生は
楽しくて幸せなのだ