.......の無い

「姉よ!」

康太は驚いたようにミキを見たが
驚いた顔はすぐに苦笑いに変わった
その横顔を見て
ミキは父さんにそっくりだと思った

「あの、女!
俺には何人兄弟姉妹がいることかだな!
くそ!」

ミキは自分が小学校のころ同じことを思っていた
兄弟姉妹がほかにはいなかったが
母親に対してはいつだって『くそ!』だった
ああ、姉弟だと思った

「あんたもどうせ風俗かなんかで働いているんだろ!
そんな家さ!」

小学校四年の男の子にしては大人っぽい意見だ
ミキはやっぱり自分の弟だと思った
残念ながらその言葉に反論できない自分を笑った

「どこに行ってたの?
お金はどうしたの?」

康太はミキをじっと見つめた
ミキがどんな人間か確かめるように