.....の無い

まったく一緒だった
自分が大人になったことも忘れて
鮮やかに子供のころの画像がよみがえった

玄関を入ると、汚い靴が散乱していて
どれも、破れていた
玄関を上がったところにはあの頃と同じ母親のバッグが置いてあった
たしか、ここにお金が入れてあったはずだが
あの頃は、父か母が子供を見る爺さんのために
毎日千円札を入れていたはずだ
今そこはぱっくりと空っぽのまま底が見えている

爺さんは奥からけだるそうに

「だれ?康太か?ちょっと、頼むから何か買ってきてくれよ
お金持っていっただろう?」

すると、女の子が飛び出してきた

「みい!プリンがいい!ごはん嫌い!」

そして、そこに立っているミキを見て驚いて

「じいちゃん、変な女の人!あ、さっきの女!」

そう、叫んだ。