.......の無い

前にたたずんで立っていると
小さな女の子が出てきた
ミキの子供のころのように
いかにもどこからか拾ってきたような
恰好をしている

手にはスコップを持っている

さっきのバケツの汚い水を混ぜ始めた
そして、嬉しそうに
きゃっきゃっと笑っている

すると、開けっ放しの玄関から爺さんがよぼよぼと出てきた

「こら、こら、やめんね!
また、服がぬれよる、もう、着るもんはねえよ」

あ・・・・じいちゃん

その二人はまるで、ミキの子供のころだった
何一つ変わっていない
涙が流れてきた
何をしていたんだろう自分は
ここを消滅させたくて努力してきたんじゃなかったのか
本を読み、簿記や英語の勉強も自己流ながらやって
仕事を人並み以上にやった
それでも、風俗に戻ってしまう自分の原点は
今もここで息づいている

この女の子はだれなんだろう?
すると、ステテコにもう、何十年も前に父親が来ていた
黄色いアロハを来た祖父がミキに気が付いた