2020-06-04 その先 その男がどこの誰かは知らない今考えれば、27、8の男だったのではないか白い古い長袖のシャツ作業ズボンに黒い長靴どこの村の若いもんかは知らないが私がふらふらと山や村の道を歩いているとよく見かける人間だった鎌は持っていても誰もがなんの注意もしないしうちの親も、どこの誰で怪しいやつだとは話していなかった話題にも上らないくらい、その男が鎌を持って歩き回ることは日常だったもちろん、村の誰もが安全な人間だと分かっていた今なら、きっと、大騒ぎになるところだろうでも、私は誰もいない山に囲まれた農道で1人の時に出会うと、怖かった