その先

孝之は私と2人で食事するのは

久しぶりだ


「母さん、ここでよかった?

家に遊びに来てくれたらよかったのに」


私は落ち着いた孝之の態度に

何だか、嫁の由美さんが言ったことは

本当かしら?

でも、興信所で調べたって言ってたし


「由美さんが離婚がどうのって話にきてさ

そしたら、次の日、トミーがやってきて

トミーと私の希望を

聞いといてもらおうと思ってさ」


孝之は、ああそういうことかというように


「希望?」


「ああ、由美さんが実家に帰って

あんたが好きな人のところで暮らすならば

あのマンションが空くだろう

それで、私とトミーがもらって

住みたいんだけど」