刷り込み

「実家が病院でね

母が心療内科をやってるんだ

父は早くに亡くなったんだ

母が無理して働くことはない

仕事は病院を手伝えばいい

そう言ってくれるから

ちょっと、迷っているんだ」


園子はその言葉に飛び上がるほど

チャンスだと喜んだ

実家が病院

仕事は十分あるじゃない

それに、こんな風に遊んで

暮らせているんだから

十分な財産があるのだろう

父親が亡くなったときに相続したはずだ


「ご兄弟はいないの?」


「うん、一人っ子」


「病院は継がなくてよかったの?」


「母さんは自由にしていいって

病院は医者を雇えばいいのだから

最終はオーナーになってくれればいいって言ってくれるんだ」