誘惑の花

京子はりさ子を見つけてきて殴りたかった

そのスピカが父親だと思っている男は

本当の父親が留学している間に

引き入れた、浮気相手の男だろう

こんなこと、スピカには説明できない

 

「もしかしたら、その人はパパじゃなかったかもしれないわ

私が会ってきた人はね

スピカの本当のお父さんじゃないかな!

だって、すごく頭がよさそうで、スピカの好きな

数学の問題とか、すらすら解けそうな人だったし

絶対に、小さな子供に手をあげたり

怒鳴ったりするような人じゃないわ」

 

スピカは少し考えた

数学も好きだが、小学校一年生とは思えないような本も読む

スピカは京子は間違ったことを言わない人

わからないことはわからないと言う正直な人

そう思っている

なまじ数学がよくできるから、わかるのだけど

学校の先生とかですら、スピカを前にすると

知ったかぶりをしてみたりする

算数の問題に関してはそんな思いをたくさんした

でも、京子さんはいつだって正直で

だからこそ、スピカの才能に気が付いて

今の数学教室を探してくれた

そう言えば、この間読んだ本の少年には

お母さんが二人いた

自分もそう言うことがあるのかもしれない

スピカはそう思うと、頭のいいお父さんって人に会ってみたくなる

小さなころいじめられた、あの父親は今から考えると

バカそうだった